十分な悲しみの場所を

悲しみは無くならなくていい

十分に悲しみのくつろげる場所を

 

この世界には日の当たる場所と影になっている場所があって

日なたはとても明るくて心地よさげで、みんなそこにいつづける

 

日なたにいる限り

悲しみはいつか消えてなくならなければならず

怒りはあってはならない

 

悲しみがゆるされるのは影の中

そこでは何も奪われることはない

 

ゆいいつの答えはすべてをくつろがせること

影はそのままで生命のすべてを包んでくれている

 

・・・ここ数日、自分に優しくすることが恐ろしかった。

「自分に価値はない。けど、だからこそ、優しく」

そういう結論に至って、無価値な自分を悲しむ心にも優しくしていた。

 

そこから恐怖がはじまった。

「自分に優しくすると、他者から優しくされない。嫌なことが起こる・・・」


 整理されていない有象無象が散らばり始める。

何か母との関係性を想起させるような感触だとか

小学生時代に建物の裏手で囲まれて性格矯正された思い出だとか

未だに続く自己否定の癖だとか

 

自分のままでは生きられなかったあの頃へのパニックに近い葛藤

矛盾の中にはまりこんでしまって、逃すことが出来なくなる神経回路のルート

 

 優しくする仕方が子どもの頃とは違うのだとか

 何がどうだったのか整理しないととか

 

そういう

そういう

そういうすべてが制御できない

 

とりあえず十分な場所だけ確保する試みを進める

安心して悲しみつづけていよう

やすらかな影の中でずっと生き続けていこうと思う。

 

悲しみを消そうとする欲望はとても強いものだから

忘れないように、とても大事なことだとここに刻みつけて

 

けっして忘れない。解決したとしてもけして忘れないから。

ずっと闇のなかで生きていくから。